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2024.10.24

伝検ニュース

伝統製法「手火山式」のかつお節

伝統的な製法「手火山(てびやま)式」でカツオをいぶす熊谷智範社長
=10月3日、宮城県気仙沼市
(時事通信社提供)

生鮮カツオの水揚げ量27年連続日本一を誇る宮城県気仙沼市では、伝統的な製法「手火山(てびやま)式」によるかつお節づくりが行われている。かつお節を最もおいしくする製法の一つと言われているが、機械化が進む中で職人は減り続け、「幻の製法」と呼ばれることも。水産加工会社マルヤマの熊谷智範社長は「長い歴史を持つ手火山式を未来に残したい」と語る。

同社の工場では、地面を2メートルほど掘ってつくった炉から、絶え間なく煙が立ち上がり、その煙が作業場を包み込んでいる。2メートルもの深い穴を掘るのは、火力を強めるためで、「カツオのうまみをより多く引き出せる」(熊谷社長)という。

この炉の上にカツオを並べた木枠のせいろを置き、煙でじっくりといぶす。手火山式の名の通り、手をかざして火加減を確かめながら、煙と熱がカツオに均等に当たるよう調整し、時間をかけて水分を抜いていく。

「手火山式は手間がかかる分、うまみが増す」と熊谷社長。大量生産に向かないため、この製法を行っている会社は現在、気仙沼市内ではマルヤマを含め数社のみだが、熊谷社長は「地元でも愛され続けている気仙沼のかつお節をこれからもつくり続ける」と力を込める。

かつお節づくりは10月中旬以降、天日干しで乾燥させ、その後、冷蔵庫で半年~1年間ほど熟成させる。完成までに時間をかけることでうまみが凝縮されるという。

▼時事ドットコムニュース トレンド動画 伝統製法「手火山式」のかつお節 より


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