2026.03.12
週刊メールマガジン「伝検通信」 第98号
週刊メールマガジン「伝検通信」第98号をお届けします。
今週のトップ記事は、水産練り商品の生産に回復の兆しがみられるという、食文化の話題です。
「クイズで肩慣らし」は、前回クイズの答え・解説と、「陶磁器」の問題です。
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目次
・ 魚の練り物生産、V字回復の兆しーおでん需要も後押し
・ 「クイズで肩慣らし」 第97回=「陶磁器」
・ 伝検協会だより
魚の練り物生産、V字回復の兆しーおでん需要も後押し
時事通信水産部長 川本大吾

形が日の出に似ていることや、紅白の色が縁起がいいとされるかまぼこ(鈴廣かまぼこ提供)
消費量が減り続けている水産練り製品の生産が、ここへきて上向いてきた。ちくわや揚げかまぼこ、はんぺんなど、おでんの需要もあり、食品メ-カーや関係組織は比較的価格が安定していて健康にもいい点などを訴え、一層の消費量アップを目指している。
◆被災地の工場も復旧、ハラル認証も
農林水産省によると、全国の水産練り製品の生産量は減少傾向をたどり、2024年には約40万8000トンと30年前の半分以下に激減。需要の減少が主な要因とみられ、加工業者は厳しい状況に置かれていたが、25年は回復の兆しがうかがわれるという。
毎月生産量を公開している一般社団法人「食品需給研究センター」(東京)の調査では、25年1~11月の練り製品の生産量は、ちくわや揚げかまぼこ、板かまぼこ、はんぺんなどを中心に計約36万トンで、既に24年の年間生産量(約35万8000トン)を上回った。
24年1月に発生した能登半島地震の影響で、被災地の生産が一時減ったものの、25年は石川県内の生産が回復。地震で被災した練り製品大手「スギヨ」(石川県七尾市)も、工場の復旧などにより25年1月には売上高が被災前の9割まで戻った。主力商品のカニカマのほか、ビタミンを配合した「ビタミンちくわ」の売れ行きも好調に推移しているという。
同社はカニカマの主力工場で生産する製品について、イスラム教徒に対応したハラル認証を今夏を目途に取得し、東南アジアや中東への輸出を拡大したいとしている。
◆「SURIMI」のロゴでPR
一方、紀文食品(東京)は昨年から、主力の魚の練り製品に海外で定着している「SURIMI」というワードを入れたロゴを使用。同社によると、「消費量が多いフランスでは、カニカマをおやつ感覚で食べたり、サンドイッチの具材に使ったりして、生活に浸透している」という。
同社は昨年、「練り製品事業企画部」を「スリミ製品企画部」に名称変更して商品の企画・開発を強化。「良質な魚のたんぱく質が凝縮されていて消化吸収が良く、子供から高齢者まで安心して食べられる食材」とPRしながら、多くのレシピを公開している。
練り製品は、おでんの具材としても人気。同社が毎年公表している「鍋白書」の2025年度版によると、おでんに関する調査で6割以上の人が、物価上昇を感じる前とそれ以降で作る回数は「変わらない」と回答したといい、国民食として根強い人気がある点を強調している。
さらに、「おでんによく入れる種」では、4年連続でちくわがトップ。はんぺんやさつま揚げも上位にランクインしていると紹介している。SURIMI需要が好調なため、「カニカマやちくわ、はんぺんなどを中心に、25年の売上高は前年を上回った」(同社広報)という。
◆「魚肉たんぱく同盟」結成
神奈川県小田原市の「鈴廣かまぼこ」は、練り製品の健康機能などについてPRするため、専門家らの協力を得て、かまぼこに含まれるたんぱく質が免疫力を高めたり、筋肉疲労を回復させたり、ダイエットにもいい効果を発揮することをホームページなどで紹介している。
同社が行ったアンケートによると、「魚のたんぱく質が消化吸収にいいことを知っている」といった回答がおよそ6割に達したほか、「近年、魚肉練り製品=良質なたんぱく質」という認識も次第に広がってきているとみている。
筋力維持にも効果を発揮することから、同社は「魚肉たんぱく同盟」と銘打って、元サッカー日本代表の稲本潤一さんらスポーツ選手と連携し、手軽に食べられる「フィッシュプロテインバー」などスティックタイプの商品も開発。人気は上々という。戦略アドバイザーには箱根駅伝で2度目の3連覇を成し遂げた青山学院大陸上競技部長距離ブロックの原晋監督も就任している。
おでんについては、同社が運営する「鈴廣かまぼこの里」で2月末まで「鈴廣 おでんまつり」を開催。地元の食材を生かしたアレンジおでんや、おでんをモチーフにしたスイーツも販売した。
水産加工業者らで作る一般社団法人「日本かまぼこ協会」(東京)も、水産練り製品は食べやすく消化がいいだけでなく、筋力を維持したい方にもお薦め」とアピール。魚肉たんぱく質含有量が一定の基準を超える商品に付けられる「フィッシュプロテインマーク」を作成し、消費を喚起している。
同協会の松本洋一専務理事は「生産・消費が減り続けてきた水産練り製品だが、良質なたんぱく質を手軽に取れ、健康志向に即した食品であると見直されつつある。生産や消費がこのまま伸び続けることを期待したい」と話している。
▼時事ドットコムニュース(2026年1月25日掲載、連載「大
「クイズで肩慣らし」 第97回=「陶磁器」
~伝統文化に関するさまざまな話題をクイズ形式でお届けします~

柿釉青流描角鉢(濱田庄司)
第97回
問題:柄杓(ひしゃく)やスポイトなどで化粧泥や釉薬(ゆうやく)を垂らすように掛け、写真のような仕上がりになる施釉技法を何というでしょう。陶芸家の濱田庄司がよく用いた技法です。(答えと解説は次号で)

「きさらぎの望月のころ」に催される行事では花供曽(花供御)という、インパクトのある名のあられ菓子が振る舞われる。
【前回クイズの問題と答え・解説】
問題:「願わくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」など多くの和歌を残した僧侶の歌人は誰でしょう。
答え:西行(さいぎょう)
解説:「きさらぎの望月のころ」は仏教の開祖・釈迦(しゃか)の命日(旧暦2月15日)を指し、涅槃会(ねはんえ)が催される日です。新暦では3月中旬~4月初旬で、桜の季節。この日に各地の寺院では正月の鏡餅をあられにして砂糖を絡めた花供曽(はなくそ)などの菓子を作って供えます。石川県には動物の形をした団子をまく「犬の子まき」という風習もあります。平安時代末期から鎌倉時代初期に活躍した西行は京都・北面の武士でしたが、23歳のころに妻子を捨てて出家し、諸国を行脚しながら約2300首の和歌を残しました。能の演目「江口(えぐち)」「西行桜」や、西行戻しの松(宮城・松島)など各地に逸話が残ります。西行はこの歌の通り、文治6年(1190)の旧暦2月16日に亡くなりました。随筆家・白洲正子の著書「西行」は、紀行文とともに旅先で西行が詠んだ歌の魅力に触れられる一冊です。
伝検協会だより
▼日本文化の継承に関する社会活動に尽力されている彬子女王殿下に3月4日、他団体と共催した講演会にご登壇いただき、伝検協会の近衞忠大会長と対談していただきました。会場には伝検合格者の方も抽選でご招待しました。対談では「文化は需要と供給で成り立っている。さまざまな日本文化をすてきだねと思ってくれる方を増やすことが日本文化を守ることにつながる」と語られたのが響きました。これはまさに、検定を通じて伝統文化の価値を多くの方に知っていただく伝検の目指すものです。対談の模様はオンライン特別講座で配信する予定です。
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【編集後記】
伝検の合格者は10代から70代まで幅広く、各世代から支持されていることが公式ウェブサイトの「過去検定情報」から分かります。とりわけ若い世代の合格者が一定数いることは「伝統」を継承していく観点から大切なことで、これからもっと若い人にはチャレンジしていってほしいと思います。私も知り合いの学校の先生方にお伝えしていきます。