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2024.07.11

コラム/エッセイ

高く澄んだ音色で涼しさを=「のと風鈴」生産急ピッチ

のと風鈴=画像をクリックすると動画のページにジャンプします(時事通信提供)

繊細な優しい音色で涼しさを感じられる夏の風物詩、風鈴―。本格的な夏を前に、石川県七尾市の能登島ガラス工房で「のと風鈴」の生産が急ピッチで続いている。

ピンク、緑など色とりどりの、のと風鈴は高く澄んだ音色が特徴で、同工房やインターネット通販で販売されている。中でも、七尾湾に浮かぶ能登島の自然豊かな海の色をイメージして作られた青色の「能登藍(のとブルー)」が人気だ。

風受けは伝統的な石川県無形文化財の高級麻織物「能登上布(のとじょうふ)」。絣(かすり)模様が涼しげな雰囲気を演出する。

能登半島地震では、工房の溶解炉などが破損。職人の高橋真人さんは地震の影響について、「能登島のお土産屋や施設の多くは営業ができておらず、観光客は戻ってきていない」と指摘する。日々、ガラスに息を吹き込みながら願うのは早期復興。「のと風鈴は一つ一つの音色が違う。実際に島を訪れ、風鈴に触れたり音を聞いたりして、気に入ったものを探してほしい」と語っている。

能登上布とは
能登上布は麻糸を使用した手織りの織物で、日本の五大上布の一つとされる。細やかな絣(かすり)模様が特徴で、軽くて通気性が良く、麻独特のシャリ感や、さらりとした肌触りが魅力。約2000年前に崇神天皇の皇女が中能登地方に滞在した際に、機織りを教えたのが始まりといわれている。1960年には石川県の無形文化財(工芸技術)に指定された。


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