2026.03.12
伝検ニュース魚の練り物生産、V字回復の兆しーおでん需要も後押し
時事通信水産部長 川本大吾

形が日の出に似ていることや、紅白の色が縁起がいいとされるかまぼこ(鈴廣かまぼこ提供)
消費量が減り続けている水産練り製品の生産が、ここへきて上向いてきた。ちくわや揚げかまぼこ、はんぺんなど、おでんの需要もあり、食品メ-カーや関係組織は比較的価格が安定していて健康にもいい点などを訴え、一層の消費量アップを目指している。
◆被災地の工場も復旧、ハラル認証も
農林水産省によると、全国の水産練り製品の生産量は減少傾向をたどり、2024年には約40万8000トンと30年前の半分以下に激減。需要の減少が主な要因とみられ、加工業者は厳しい状況に置かれていたが、25年は回復の兆しがうかがわれるという。
毎月生産量を公開している一般社団法人「食品需給研究センター」(東京)の調査では、25年1~11月の練り製品の生産量は、ちくわや揚げかまぼこ、板かまぼこ、はんぺんなどを中心に計約36万トンで、既に24年の年間生産量(約35万8000トン)を上回った。
24年1月に発生した能登半島地震の影響で、被災地の生産が一時減ったものの、25年は石川県内の生産が回復。地震で被災した練り製品大手「スギヨ」(石川県七尾市)も、工場の復旧などにより25年1月には売上高が被災前の9割まで戻った。主力商品のカニカマのほか、ビタミンを配合した「ビタミンちくわ」の売れ行きも好調に推移しているという。
同社はカニカマの主力工場で生産する製品について、イスラム教徒に対応したハラル認証を今夏を目途に取得し、東南アジアや中東への輸出を拡大したいとしている。
◆「SURIMI」のロゴでPR
一方、紀文食品(東京)は昨年から、主力の魚の練り製品に海外で定着している「SURIMI」というワードを入れたロゴを使用。同社によると、「消費量が多いフランスでは、カニカマをおやつ感覚で食べたり、サンドイッチの具材に使ったりして、生活に浸透している」という。
同社は昨年、「練り製品事業企画部」を「スリミ製品企画部」に名称変更して商品の企画・開発を強化。「良質な魚のたんぱく質が凝縮されていて消化吸収が良く、子供から高齢者まで安心して食べられる食材」とPRしながら、多くのレシピを公開している。
練り製品は、おでんの具材としても人気。同社が毎年公表している「鍋白書」の2025年度版によると、おでんに関する調査で6割以上の人が、物価上昇を感じる前とそれ以降で作る回数は「変わらない」と回答したといい、国民食として根強い人気がある点を強調している。
さらに、「おでんによく入れる種」では、4年連続でちくわがトップ。はんぺんやさつま揚げも上位にランクインしていると紹介している。SURIMI需要が好調なため、「カニカマやちくわ、はんぺんなどを中心に、25年の売上高は前年を上回った」(同社広報)という。
◆「魚肉たんぱく同盟」結成
神奈川県小田原市の「鈴廣かまぼこ」は、練り製品の健康機能などについてPRするため、専門家らの協力を得て、かまぼこに含まれるたんぱく質が免疫力を高めたり、筋肉疲労を回復させたり、ダイエットにもいい効果を発揮することをホームページなどで紹介している。
同社が行ったアンケートによると、「魚のたんぱく質が消化吸収にいいことを知っている」といった回答がおよそ6割に達したほか、「近年、魚肉練り製品=良質なたんぱく質」という認識も次第に広がってきているとみている。
筋力維持にも効果を発揮することから、同社は「魚肉たんぱく同盟」と銘打って、元サッカー日本代表の稲本潤一さんらスポーツ選手と連携し、手軽に食べられる「フィッシュプロテインバー」などスティックタイプの商品も開発。人気は上々という。戦略アドバイザーには箱根駅伝で2度目の3連覇を成し遂げた青山学院大陸上競技部長距離ブロックの原晋監督も就任している。
おでんについては、同社が運営する「鈴廣かまぼこの里」で2月末まで「鈴廣 おでんまつり」を開催。地元の食材を生かしたアレンジおでんや、おでんをモチーフにしたスイーツも販売した。
水産加工業者らで作る一般社団法人「日本かまぼこ協会」(東京)も、水産練り製品は食べやすく消化がいいだけでなく、筋力を維持したい方にもお薦め」とアピール。魚肉たんぱく質含有量が一定の基準を超える商品に付けられる「フィッシュプロテインマーク」を作成し、消費を喚起している。
同協会の松本洋一専務理事は「生産・消費が減り続けてきた水産練り製品だが、良質なたんぱく質を手軽に取れ、健康志向に即した食品であると見直されつつある。生産や消費がこのまま伸び続けることを期待したい」と話している。
▼時事ドットコムニュース(2026年1月25日掲載、連載「大
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