伝統文化を知る

2024.04.04

伝検通信(メルマガ)

週刊メールマガジン「伝検通信」 第2号

新連載、始めます。

週刊メールマガジン「伝検通信」第2号をお届けします。
今号より、日本伝統文化検定協会理事による「宙ちゃんの『伝統文化一直線』」連載を開始します。
「クイズで肩慣らし」は前回クイズの解答・解説と、和紙・染織分野からの出題です。
7月末までにメルマガ登録した方の中から、抽選で100人に公式テキスト(9月ごろ刊行予定)をプレゼントするキャンペーンも引き続き実施中です。ぜひ、お知り合いにメルマガ登録をお勧めください。
それでは第2号スタートです。


目次

・ 宙ちゃんの「伝統文化一直線」 第1回 日本の伝統文化を学ぶ意味
・ 「クイズで肩慣らし」第2回(和紙・染織)=「岐阜提灯」
・ 伝検協会だより


宙ちゃんの「伝統文化一直線」 第1回 日本の伝統文化を学ぶ意味

近藤宙時=日本伝統文化検定協会理事

棕櫚帚(シュロほうき)

日本の伝統文化を知ることは、日本を知ることです。日本を知ることは、日本人にとっては自分が世界に出た時の強みを知ることにつながります。外国人にとっても、「自然との共生」という根源的なサステナブル性を知ることは、今の時代、とても有意義なことであると思います。

日本の伝統文化の最大の特徴は、何と言ってもその気候風土からくる、自然への想い、接し方です。砂漠や草一つ生えていない急峻な山々など、ともすれば人を拒否するような表情を持つ大陸の自然と異なり、日本には砂漠もなく(鳥取砂丘は人が保護しないと消えてしまいます)、多くの山々は「山の幸」という言葉が示すように人に優しい存在です。

日本人にとって自然は、時に猛威を振るい、人を脅かすことはあっても、基本的には母のように優しい、そして敬うべき存在であり、決して対抗するべき存在ではありません。幸を与えてくれる山や海だけなく、草木一本一本、自然の生み出したあらゆるものに対する親しみの心、敬う気持ちが日本の伝統文化の底流に流れ続け、圧倒的な個性を生み出してきました。

そのため、日本の伝統文化には自然が巧みに取り入れられてきましたし、日本の絵画や陶磁器、漆器に描かれる自然はどこか優しく、親しみを感じさせるものです。

生産過程はもちろんのこと、使う段階から廃棄の段階に至ってもあくまでサステナブルな日本の伝統工芸を、欧米ブラントを求める日本人にはもちろん、世界の人に知ってもらい、一つでも多く使ってもらいたいと思います。

例えば、棕櫚帚(シュロほうき)という日本の掃除道具があります。これを一つ買って使ってみると、生活自体に自然が与えてくれる潤いが生まれます。棕櫚帚を使う時の音、あるいは棕櫚の鼻をくすぐる爽やかな香りが生活を豊かにしてくれます。

やがて、棕櫚帚にビニールなどの工業製品のゴミを処理させるのはかわいそうに思えてきて、いつの間にかその手のゴミが減って生活全体のサステナブル性が高まっていくのを感じるでしょう。日本の伝統文化、そしてそれを学ぶことは、深い所で地球の危機を救うものを持っているのです。

*次回のテーマは「日本の伝統工芸が直面した2度の危機」です


「クイズで肩慣らし」第2回(和紙・染織)

~伝検公式テキスト(9月ごろ刊行予定)のジャンルごとに出題します~

岐阜を代表する伝統的工芸品のひとつ「岐阜提灯」との出会いにより誕生した世界的に有名な和紙照明「AKARI」をデザインしたのは誰でしょう。

1 ジョージ・ナカシマ
2 イサム・ノグチ
3 バックミンスター・フラー
4 バーナード・リーチ

【前回の解答と解説】

問題:このお茶碗の模様、何と呼ばれているか、ご存じでしょうか?(前回メルマガ参照)

答え:火襷(ひだすき)または緋襷

解説:火襷は備前焼の焼けの景色の一つ。1000年の歴史を持つ備前焼は「日本六古窯(ろっこよう)」の中で最も古い焼き物で、形造った素地を釉薬(ゆうやく)を掛けずに窯詰めし、松割木を使って長時間焼きしめることが特徴です。火襷は成形し乾燥させた作品に稲藁(わら)を巻き、焼成することで藁の燃えた跡が緋色に発色し、それが赤い襷(たすき)をかけたようだったため、火襷と呼ばれるようになりました。土と炎と人の技の調和により、素朴でありながら奥深い備前焼ならではの魅力が生まれます。


伝検協会だより

日本伝統文化検定協会は3月28日に、第2回理事会を時事通信社本社の会議室で開きました。2024年度の事業計画や予算が承認され、事業計画では、公式ウェブサイトの4月下旬公開、公式テキストの8月発売といった方針が固まりました。また、香川県が県産品の販路拡大や産業振興を目的に設立した外郭団体である「一般財団法人かがわ県産品振興機構」(高松市)の入会が決まったことも報告されました。

 このほか、理事会では、理事の一人である小谷野悦光日本旅行社長から、今回のクイズの答えにもなった備前焼について、「日本旅行は、4月にイタリアで開かれる世界最大規模の家具見本市『ミラノサローネ』に、同国の雑誌社と組んで、作品を出展・紹介する」とのお話がありました。協会としても、引き続きさまざまな機会を通じて伝統文化の情報発信に取り組みます。


【編集後記】

伝検通信第2号をお届けしました。ちょうど創刊号が配信された日、世界に誇るべき日本の文化や工芸品を、金沢の国立工芸館や石川県立美術館、鈴木大拙館等で見る機会があり、技術の粋を堪能しました。今後も、本メルマガで全国各地の伝統工芸や文化を紹介いたします。周りの方にご登録をぜひお勧めください。(坂本)。


TOP