神霊や過去の幽霊など、霊的な存在が主人公となる能の形式の名称は何でしょう。

夢幻能(むげんのう)

能は大きく「現在能」と「夢幻能」に分けられます。生きた人間のドラマを現在進行形で描くのが「現在能」。一方、「夢幻能」は神や鬼、幽霊といった異界からやって来た霊的存在が昔を思い、その土地にまつわる伝説を振り返ったり、過去の物語を再現したりするのが特徴です。人間の心理を深く描き出せる「夢幻能」は、世阿弥が父の観阿弥が志した幽玄を受け継いで確立した劇形式です。

「和」を知る・「和」を楽しむ・「和」を伝える日本のスペシャリストになろう!

このたび、一般社団法人日本伝統文化検定協会の会長という大役を仰せつかりました。

近年、日本は観光デスティネーションとして最も注目される国の一つになり、世界中で日本発のコンテンツが愛されています。歴史と伝統があり、それにとらわれることなく新しいものを生み出す力が、そういった評価につながっていると思います。

日本の外に出ると、多くの「日本ファン」に出会います。そしてよく勉強された方にお目にかかり、自分の無知を恥じることがいかに多いことか。

高度経済成長期に生まれ、海外で育ち、クリエーターとして仕事をしてきた私は、伝統とはおおよそ離れた場所にいました。しかし多くの神社仏閣、芸能、工芸などとの縁が深い家に生まれたこともあり、自然と伝統に触れ、さまざまな体験をする中で、ご先祖さまに恩返しをしなければ、という意識は常に持っています。海外で長い時間を過ごした日本人の一人として、われわれが誇るべき伝統をきちんと理解し、少しでも多くの日本人が言語を選ばずに伝えることができるようになる一助になればと思っております。

伝統文化の勉強は得てして入り口が狭く、長い時間がかかります。しかし、その素晴らしさに触れたり、興味を持つきっかけがあったりすれば、楽しみながら学ぶことができるのではないでしょうか。日本伝統文化検定を通じて、そのきっかけをつくり、皆さまと一緒に勉強をしていきたいと思っております。どうかよろしくお願い致します。

一般社団法人日本伝統文化検定協会会長 近衞忠大

株式会社curioswitch 代表取締役/クリエイティブ・ディレクター
宮内庁 式部職 宮中歌会始 講師