ご挨拶
会長
(株式会社curioswitch 代表取締役/クリエイティブ・ディレクター、宮内庁 式部職 宮中歌会始 講師)
戦後80年近くがたち、日本の教育課程の中で、また日頃の生活の中で伝統文化を学ぶ機会は非常に少なくなっています。伝統文化が身近にあっても、それが素晴らしいものだ、美しいものだ、と思える感受性も薄れていると感じています。 理想は教育や環境を変えて、小さい頃から伝統に触れる機会を増やすことができれば良いのですが、まずは伝検も含め、出来るところから情報発信をしていきたいと考えています。 伝検には「学ぶ」という教育的な面もありますが、より気軽にゲーム感覚で楽しんでもらいながら子どもや若い世代はもちろん、幅広い世代の方々が伝統文化に興味を持つきっかけです。伝統文化がいかにして生まれ、発展してきたのか、という流れを理解し、先人がかつて持っていた豊かな感受性を取り戻し、未来につなげることができれば幸いです。
略歴
公家であり五摂家筆頭・近衞家の長男として生まれながら、スイスで幼少期を過ごしたトリリンガル。武蔵野美術大学卒業後、テレビ局やプロダクションにて、テレビ番組、インターネット動画制作、ファッションブランドの大型イベントなど、幅広い制作現場を経験。語学力をかわれ、古典的な出自に反して、外資系企業の日本マーケティングや、日系企業の海外向けブランディングなど、国際的なプロジェクトに数多く関わる。伝統と革新、日本と海外、といった文化の違いを乗り越え、共通のゴールを目指す仕事を重ねた結果、「世界の中の日本」を強く意識するようになり、「文化とクリエイティブで世界の橋渡しとなる」ことを目指して、curioswitch(キュリオスイッチ)を起業。
兼務職
公益財団法人 陽明文庫 評議員
公益財団法人 十四世六平太記念財団 理事長
東京都 江戸東京きらりプロジェクト 選考委員
観光庁 地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり検討委員会 委員
副会長
(多摩美術大学教授、工芸評論家、工芸史家)
日本の伝統文化の現状を見ると、興味、関心のある人たちが、外国人を含め増えつつあります。そういう人たちがさらに増えれば、伝統文化がより豊かに継承されていくと思います。伝統文化を維持するためには、作り手や演者などの生み出す側だけでなく、それを受け取る側の育成、さらにその間をつなぐような紹介者、解説者の育成も大切です。伝統文化は一人で育つものではなく、それに関わり、それを楽しむ多くの関係者、享受者がいることが必須です。 伝検は、自分がどのくらい知っているのか、理解しているのかを計る機会となり、学ぶモチベーションを上げると思います。また、伝検を「話題」のきっかけにして、伝統文化への興味、関心を高めていただくとともに、共通言語として伝統文化が語られる場が増えていくことを願っています。一般企業の方々、国や地方自治体の特に観光や教育などの関係部署に所属する人、小中高の先生方、工芸を学ぶ大学生らに、幅広く受験していただけるといいですね。日本人とは何かを知り、国際感覚を養う上でも伝検が役立つのではないかと期待しています。
略歴
1964年東京生まれ。茨城県陶芸美術館主任学芸員等を経て、多摩美術大学教授・愛知県立芸術大学客員教授。2002年英国テート・セント・アイブス『Kosho Ito Virus』をはじめ国内外の美術館・大学等で展覧会監修、図録執筆、講演を行う。日展、日本伝統工芸展、韓国・国際工芸ビエンナーレ、世界陶磁ビエンナーレなど国内外の公募展の審査員を務める。
受賞歴
2014年台湾・国際キュレーションビエンナーレでベスト8に選出、表彰される
2005年菊池美術財団論文賞(最高賞)
主著
『日本近現代陶芸史』(阿部出版、2016)
『Fired Earth, Woven Bamboo: Contemporary Japanese Ceramics and Bamboo Art』(米ボストン美術館、2013)
『中村勝馬と東京友禅の系譜』(染織と生活社、2007)
『現代陶芸論』(阿部出版、2023)
『毎日新聞』「KOGEI!」を連載中
副会長
(文筆家、アートプロデューサー)
日本の伝統文化を取り巻く現状は非常に厳しい状況にあります。日本社会全体の問題でもありますが、少子高齢化などにより、担い手が少なくなっていることもあり、伝統産業や伝統芸能を維持していくこと自体が難しい状況です。 まずは、こうした現状認識を国民全体で共有することが非常に大切だと考えています。伝統文化への日本の意識の低さは、例えば、文化にかける政府予算の規模を見ても明らかです。2020年3月の文化庁資料によると、日本の文化支出額は1167億円と、政府の総予算に占める割合はわずか0.12%。隣国の韓国は3015億円で、政府予算に占める割合では10分の1程度(韓国は1.14%)と遠く及びません。伝検をきっかけに、日本人の現状認識を変えていくきっかけにしていきたいと考えています。伝検を通じて、より多くの人に幼少期より日本の伝統文化に興味を持っていただき、さらに興味のある分野を深掘りする。伝統文化を語ることができる得意分野を持っている人は、それがコミュニケーションツールになることを認識していただき、伝統文化に関わる人、理解する人を一人でも多く増やしていきたいと思います。(談)
略歴
1965 年東京生まれ。細川護煕首相の公設秘書を経て、執筆活動に入る。その一方で日本文化の普及に努め、書籍編集、デザインの他さまざまな文化イベントをプロデュースする。骨董・古美術専門誌 月刊「目の眼」編集長(2013-2018年)。父方の祖父母は、白洲次郎・正子。母方の祖父は文芸評論家の小林秀雄。
主著
『骨董あそび』(文藝春秋)
『白洲次郎の青春』(幻冬社)
『白洲家としきたり』(小学館)
『かたじけなさに涙こぼるる』(世界文化社)
『旅する舌ごころ』(誠文堂新光社)
『美を見極める力』(光文社新書)ほか多数
編著
『天才青山二郎の眼力』(新潮社)
『小林秀雄 美と出会う旅』(新潮社)
『朱漆 根来』(目の眼)ほか