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2024.06.27

伝検ニュース

インバウンド起爆剤に=工芸品、首都圏で販路拡大―香川県=

羽田空港内のショップで販売されている「讃岐かがり手まり」(羽田未来総合研究所提供)

香川県は伝統的工芸品を含む県産品について、首都圏での販路拡大や情報発信を強化している。県関係者、生産者、流通業者などから構成される「かがわ県産品振興機構」(高松市)を中心に、羽田空港(東京都大田区)内の工芸品セレクトショップなどと連携。インバウンド(訪日客)に人気の高い「讃岐かがり手まり」「香川漆器」「丸亀うちわ」などを積極的にアピールしていく。

◇官民連携で取り組み強化

「最大の課題は販路拡大」と見定めるのは、同振興機構販路開拓担当の松本拓人さん。香川県は、県の伝統的工芸品として、国指定の「香川漆器」「丸亀うちわ」を含む37品目を指定しているが、職人らを取り巻く環境は厳しい。担い手の高齢化、後継者不足に加え、大消費地である首都圏から遠く知名度が高くないことなどが理由だ。

県は2013年に、官民のノウハウを合わせ、販路拡大や情報発信の強化を図るため、同振興機構を設立。評議員や理事には県、農業・漁業団体、商工会議所、大学などの関係者が名前を連ねる。

◇起爆剤はインバウンド

日本経済のコロナ禍からの回復や円安基調を踏まえ、販路拡大の起爆剤と位置付けるのが、インバウンド向けを狙った首都圏のセレクトショップとの連携だ。羽田空港第3ターミナル内に23年12月にオープンした「JAPAN MASTERY COLLECTION(JMC=ジャパンマスタリーコレクション)」には、多くの香川県の工芸品が並ぶ。

日本空港ビルデングが公表した羽田空港旅客ターミナル利用実績によると、23年度の外国人利用客は約1037万人と前年度(約307万人)から3.4倍と大幅に増え、コロナ禍前の18年度(約823万人)の水準も上回った。JMCの買い物客も95%がインバウンドという。

◇観光客増加も期待

JMCを運営する羽田未来総合研究所(東京都大田区)地方創生事業部の中村良枝さんは色とりどりの絹糸を使って紋様をあしらう讃岐かがり手まりについて、「外国人に非常に人気がある。華やかで、日本らしさを感じているようだ」と話す。実際に、讃岐かがり手まり保存会(高松市)によると、JMCでの取り扱いが始まって以来、手まりの販売個数は4月までの5カ月間で前年の同じ時期と比べ約2倍に伸びたという。

松本氏はJMCとの協業について、「インバウンドは富裕層も多い。円安効果もあり、工芸品の売り上げも好調だ」と手ごたえの笑顔を見せる。その上で「工芸品を通じて香川県や高松市を知った外国人が、次の機会に旅行で県や市を訪れてくれるような流れを作りたい」と強調。香川、岡山両県の瀬戸内海の島々などで2025年に開催される「瀬戸内国際芸術祭」もにらみ、観光面への波及効果にも期待を寄せている。

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